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杏奈（あんな）「新しい英語の先生、見た？」
瑠璃（るり）「見た見た！ 超イケメンだよね」
杏奈「うん。なんていうか、大人の雰囲気漂うっていうか」
瑠璃「２２歳ってことは私達より５つくらい年上か。確かに大人だよね」
杏奈「髪は程よく、くるくるしてるけど、あれは天然なのかな？」
瑠璃「子供のころから天パだって、自己紹介で言ってたよ。……って、あ、本人いた」
杏奈「しーっ！ 静かに。今、きっと職員室に向かうよ。そうっと追いかけよう！」
瑠璃「えっ、尾行？ ストーカーみたいなことして……」
杏奈「まあまあ、行ってみようよ」
瑠璃「あ、トイレだった」
杏奈「なんだ、トイレか。さすがにそこまで入れないや」
瑠璃「引き返そう」
杏奈「いやちょっと待って。すぐ出るよ。男なんだから」
瑠璃「もう、そこまでして待つ？ ……って、あ」
杏奈「ほら出てきた。さ、追うよ」
瑠璃「もう、いくらなんでもイケメン好きにも程があるよ」
杏奈「まあまあいいから。あれ？ おかしいな。職員室は２階なのに、階段を昇っていくよ？」
瑠璃「上の階は３年生の教室と理科室しか無いのに。確かにおかしいなあ」
杏奈「先生、２年A組の担任だよね？」
瑠璃「そうだよ。あ、きっと授業があるんだよ」
杏奈「でも、３年生の英語は別の先生が担当しているはずだよね」
瑠璃「確かにそうだ。じゃあ、何の目的があって上の階に行くんだろう」
杏奈「忘れ物渡しに行くとか……」
瑠璃「それは職員室で預かる決まりでしょ？」
杏奈「そっか」
瑠璃「なんだか私も気になってきたよ」
杏奈「さっきは程があるって言ってたくせに」
瑠璃「ごめん」
杏奈「あ、理科室に入った」
瑠璃「本当だ！」
杏奈「どうして理科室に入ったんだろう？ 英語の先生なのに？」
瑠璃「確かにそうだよね。変だね。目的が分からない」
杏奈「不思議だね」
瑠璃「誰か中にいるみたいだよ？」
杏奈「女性の声……、この特徴的な萌え声って、星羅（せいら）？」
瑠璃「あ、Ｃ組の？」
杏奈「そう！そうだよ！」
瑠璃「なんか言い争ってるよ？」
杏奈「なんだろう。何か嫌な予感」
瑠璃「星羅、叫んで出て行っちゃった。『もう知らない！信じてたのに！』って、どういう意味？」
杏奈「もしかして二人は恋人同士だったとか？」
瑠璃「へっ？ そんなことある？」
杏奈「星羅、年上の彼氏いるって言ってたし。そうじゃなかったら隠れて会ったりしないよ」
瑠璃「あ、先生出てきた。嘘、嘘……！ こんなことって」
杏奈「血だらけ！ 大丈夫ですか！？」