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ヒナ「ねえコウヘイ！ 屋上まで競争しよう？」
コウヘイ「えっ？ ここから？上まで随分あるよ？」
ヒナ「長いほうが燃えるでしょ？」
コウヘイ「長ければ長いほど疲れるじゃん…」
ヒナ「そんなこと言ってる間に…よーい、ドンッ！」
コウヘイ「ちょ！ フライング！ 今のフライングだろっ！ ちょっと待てって！」
ヒナ「何言ってんの！ 全然フライングじゃないよ！ こういうのは始めたもん勝ちなの！」
（終始息切れ気味）
コウヘイ「意味わかんないし。っていうか、ヒナ速くね？ なんでそんな速いの？」
ヒナ「そりゃあ陸上部だもん！ 当然でしょ？」
コウヘイ「そりゃそっか。ああ…！まだ２階か！」
ヒナ「さすがに私もばててきた…ここらで休憩かな！」
コウヘイ「競争なのに休憩ありなの？ うさぎと亀じゃん」
ヒナ「まあ、それが人生ってもんじゃん？」
コウヘイ「そんなことしてたら、俺みたいな亀に先越されるよ？（ダッシュするコウヘイ）
ヒナ「あっ、やられた！ ちょっと待って！ 先行かないでよ！」
コウヘイ「いつまでも休んでると思うからだよ！ そういう油断が、すこしづつ人生を悪くするんだよ！」
ヒナ「そうだけどさっ」
コウヘイ「あ、そう言ってるうちに抜かされた！」
ヒナ「まあちょっとくらいなら休んでも、私のうさぎはモーマンタイよ！」
コウヘイ「はぁ、全然追い付けねえ。あー、もう見えない。もう負けだ。歩いてゆっくり階段上るか。もう屋上だし。ヒナ、俺の負けだ〜。参った……えっ？」
ヒナ「コウヘイ……」
コウヘイ「何してんだよヒナ！ そんな柵を乗り越えたりしたら、落っこちちゃうだろ！？」
ヒナ「ごめん。ここに来たのは競争したかったらじゃないの。実は、色々あって……」
コウヘイ「なにを言ってんだ？ とにかく戻ってこい！ 危ないから！」
ヒナ「嫌だよ。もう私は戻らない。コウヘイを最期の目撃者にさせたかったの」
コウヘイ「最期……？」
ヒナ「私、今からここから飛び降りるよ。そしたらもう。。」
コウヘイ「何言ってんだよ！ 早まるな！」
ヒナ「じゃあね、ばいばい」
コウヘイ「ヒナ！ ヒナ―！！！」
ヒナ「カットー！はーい、お疲れさまでした！」
コウヘイ「さすがに長回しで撮影はきつかったわ。走るの死ぬかと思った」
ヒナ「でもおかげで映画コンテストに良い作品応募できそう。コウヘイありがとう！」