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「『やあ兄弟。
地球での暮らしはどうだ?
相変わらず元気でやっているかな。
火星から年賀状を出そうかと思ったんだけど、せっかくだから手紙におこすよ。
長くなるが読んでくれたら嬉しい。
地球からの移住から1年。
なあ俺達しんどいこともあったけどさ、今、こうして火星で暮らせて幸せなんだ。
地球に暮らしていたころじゃ考えられない位、わくわくすることが沢山ある。
まず、食について。
溶岩でステーキ焼いて食べるの最高。
地球から配達される冷凍肉を一瞬で解凍して、そして溶岩で焼く。
地球で食べるのの何倍も美味しい。
やっぱり熱の入り方が違うんだ。
強火で上手く炙れるから、中がとろけるようになる。
火星に来て一番幸福を感じるのは、火星ならではのおしいものを食べているときだよ。
2番目に幸せを感じるのは、地球とは違う仕事を経験できることだ。
地球では見ることのできない、虹色のトマト。
地球のものの100倍大きなナス。
1kmあるキュウリ。
それらを育てるのが、俺の今の仕事だ。
所謂農家だな。
種は砂浜にあるような特殊な砂に植えて、毎日水やりをしていく。
物にもよるんだが、10日位であっという間に野菜の出来上がりだ。
獲れ時になるとくるくると回転して、実だけがぽとりと落ちる。
それを俺は拾うって訳だな。
温度が高いからこういったことが可能になるらしい。
本当に美味しいから地球に送りたい所だが、輸送費が高いのだ。
手紙程度のものなら気軽に送りやすいんだが、野菜ともなると中々手が出ない。
だからいつか君が火星に来たときにでも食して欲しい。
3番目の幸福は、単純に、地外(地球外)で暮らしているという実感を得られるということかな。
俺は日本から海外に出て、それから地外で暮らしている訳だけども、やはり国内とも海外とも違う。
気持ちが大きくなる。
俺は自由だって思う。
故郷を出るという行動は、自由な気持ちにさせて、尚且つ自己肯定感も上げるようだ。
不思議だなあ。
というわけで、このような生活を送っているよ。
忘れていたが、これは半分は年賀状のつもりだったのだ。
年を越して、また新しい年になり、新たな文化が生まれる。
それはわくわくすることだ。
そう、地球人が月に旅立った時も、火星に旅立った時も、人々は物凄くわくわくしたのだ。
君がこの手紙を読んでいる頃には、もう年を越している。
新たな文化が今年もまた生まれることを願っているよ。
ではまた会おう。
今度は火星でな!』
……か。
長い手紙だった。まさか1月2日に火星が爆発するとは、彼は思いもしなかっただろう。
地球人は皆知っていたのに、火星への移住者には届かなかったのだ。残念だ」