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胡桃(くるみ)「ねえ、この本屋さんって前に来たことあるよね?」
翔(しょう)「ある。本屋さんっていうか、ブックカフェな」
胡桃「ああ、そっか。確か、去年のデートで行った所だよね」
翔「うん。覚えててくれてた? 結婚記念日にディナーを食べたんだよ」
胡桃「ああ、そうだったね。だんだん思い出してきた」
翔「やっと思い出せた? 頭を打ってから中々思い出せないよね」
胡桃「うん、そうだよね。仕方ないよね」
翔「ちょっとずつ思い出していこうね? それで、ここに一緒に来たこと覚えてる?」
胡桃「ああ、なんだっけ? なんのお店だっけ……?」
翔「ここは古着屋だよ。ここで一緒にワンピースを選んだんだよ」
胡桃「ああー……なんか段々思い出してきた。ここで確かピンクのワンピースを買ったような気がする」
翔「そうそう。俺が選んで、胡桃が気に入ったんだよ」
胡桃「そっかそっか。そうだった気もする」
翔「どう? 頭を打つ前も幸せな人生だったでしょ?」
胡桃「うん、こんなに素敵な彼氏がいたんなら、かなり幸せだったろうね」
翔「いつも幸せだって言ってたよ。それに、自慢の彼氏だって言ってた」
胡桃「そうだろうね。でも、どうして翔は顔を見せてくれないの?」
翔「……え?」
胡桃「ずっとサングラスに帽子だし、なんでかなあって」
翔「俺、自分の顔が好きじゃないから、彼女にでさえ顔を見せたくないんだよ」
胡桃「まあそんなこと言わずに!」
翔「わぁっ! 取るなよっ!」
胡桃「えっ……翔ってこんな顔だったの……?」
翔「な、なんだよ」
胡桃「この顔なんか見覚えがある。絶対に彼氏じゃない!」
翔「何言ってんだよ。何か記憶が混乱してるんじゃないか?」
胡桃「あなたは私のストーカーじゃないの? そうだ、思い出してきた! あなたともみ合って、頭を打ったんだ!」
翔「ついに思い出してしまったか……! そうだ! 俺はお前の彼氏じゃない! お前をずっと追いかけて来た、バーの客だよ!」
胡桃「そうだ! 私、バーで働いてたんだった! そのとき付きまとっていた奴だ! 気持ち悪い!」
翔「でも今は俺のこと好きって言ってくれたじゃないか」
胡桃「警察に突き出す! ずっと私のこと騙してたのね!」
翔「何言ってるんだよ。今日だってデートしてたのに……」
胡桃「それはあなたが彼氏だと思ってたからよ! あっ交番あった! おまわりさん! この人ストーカーです!
え……? 私が逮捕? どうして?」
翔「それは胡桃がこの警察官のストーカーだったからだよ。俺もお前もストーカー同士だったのさ」
胡桃「あ、あなたは私の愛しの人……」